そらける
↓
きみは
かくれて
いない
1
きみは
孤独な目をしていた
きみは
苦しんでいた
きみは
幸せだと言った
きみは
余裕だと言った
きみは
平和だと言った
久しぶりに会った君は
おかしくなっていて
ぼくは
笑ってしまった
涙がでた
2
きみは
ぼくのしらない
苦しみを
しっている
ひとのなかに
ぼくのしらない
苦しみを
みている
ひとと
ぼくのしらない
繋がりを
もっている
ぼくのしらない
ひとの
愛しさを
しっている
3
いつも
へらへらごまかしている君が
まじめな顔をしている
いつも
笑っている君が
なみだをながした
強いはずの君が
負けてしまった
きみが
怒ったところ
はじめてみたよ
ことばを話せる君は
いつか
ことばを
うらぎった
4
ぼくたち
いつまでも自分なのに
傷つくところが
多すぎるね
痛みを感じるところが
ここは
どこなんだろうね
なにひとつ
理解
できない
ぼくたち
苦しみが消えないのなら
向き合うしか
ないんだね
いつまでも自分だから
ぼくは
金魚に
なりたい
5
世界がジグソーパズルなら
みんなで一つだと
思いたい
きみとは
たのしくなれない
かもしれないけれど
だれかが
だれかと
たのしくなれる
みんな
めぐりめぐって
みんな
必要なんだって
思いたい
6
きみだけが
きみになれて
きみだけが
きみに
とうたつできる
きみは
ここで
はじめて生まれる
印象なんだ
そうやって
きみを笑う人を
きみは
笑うだろうか
それとも
ほほえんでくれる?
どちらにしても
きみは
かくれて
いない
けど
7
ぼくは
ぼくを
決めない
きみが
ぼくを
決める
きみに
ぼくを
ゆだねるよ
ぼくは
きみから
自由になる
ぼくは
ぼくから
自由になる
8
よく
わからないけど
なにかある
ただ
そんな気がして
ぼくは
いま
生きている
きみに
会いにいく
ぼくと君は
自由
だから
独りだった
しらない時から
いつでも
ずっと
一人だった
えいフラット
1
すべてが嫌で
消えたい
(たのしみたい)
ひとり生きられなくて
あの人が嫌い
(生きたい)
ひとに会いたくなくて
自分が嫌い
(さみしいんだ)
人もまきこんじゃうな
さみしいんだ
理解はいらない
助けてよ
わかるわけない
絶句したってかまわない
それより
さ
逃げ道をください
2
雨が降って
みんな
傘の下で
夜がきて
ほっとしていた
部屋の中で
雨が
うれしかった
粘土が
火を受け
形をもつように
ぼくは
焼かれて
灰になる
灰に
なってしまう
3
ありきたりなものばかりがみえる
どこへ行ってもおかしな人
コンピュータと仲良くしても
ここの寒さはしのげない
胸をさす→
煙を吐いても
さみしいだけ
友達は「こけし」
そういうスタンス
箱の中で
ヘッドフォンして
ぼくは
ちいさな
人間
受け入れられないものを
受け入れていった
その過程で
生きて
いっ
た
4
夏が
あつくて
冬が
さむいや
きみが君であることは
ぼくにとっての
こうふく
ぼくが僕であることは
きみにとっての
こうふく
しろはた
だったりして
ハハ
ぼくの中には
いろんな君がいて
いろんな君に
出会う
(すべては自分の責任なんだ)
だからいつでも
きみに
それから
ぼく自身に
かんぱいなのです
おめでたいです
5
雨の日の
たんぽぽを
しっていますか
ぼくは
花に
つつんでもらおう
みまもってもらおう
支えてもらおう
ふぅ
今日までの君に
なにがあったのか
それとも
なかったのか
知りたいと思った
(きみみたいな
ひとが
いるなんて)
ああ
6
三拍子の空白に
ぼくは身をゆだねました
たかがされどのあわいを漂い
うつろう気持ちに
流されている
だれもが
野の小径をさまよう
ならば
だれかでなくて
自分がいい
どこかでなくて
此処がいい
・・・それで
硬いガードレールに
足をかけると
四角い色が指先に触れる
それをジーンズなどで
拭いてしまうと
濃い青い色に
白色が移ってしまう
そういうことを
しょうがないなァと思う
きみに
会いに行きたい
脈略なんていらないから
自覚なんて
そこに
あるんだから
7
雨宿りのテントで
コーヒーを飲んでいる
ここは
楽器がなくても
音楽なのでした
しゃべらなくても
言葉なのでした
きみが森羅万象を語った
そう思いました
とてもきれいです
きみの声の振動が
ぼくを奮い立たせるんだ
うたいながら君が
とうめいになっていくように
あなたの声を聴きながら僕は
とうめいになる
あなたの文字を追って
ぼくは
とうめいになる
はずだった・・・
サイフォン式の抽出器で
コーヒーが下に降りてくるのは
火をうけ続けた
フラスコビーカー内で
水蒸気が
自然に
従うからです
ぼくが
変わっていくみたいに
8
いつも
あなたの言葉は正しいような
気がしていたよ
あなたの言葉を待っていました
あなたに励ましてもらって
ぼくの生き方を
肯定してもらっていました
あなたのところへ行けば
すべてがそのままでいいのだと
全ての答えを得るのだと
感じていました
でもさ
そういうこと
もう
終わりにしましょう
きみを
愛したいよ
きみを
愛したいと
思ったよ
Cacao
Cocoa
1
とうめいな
くうきが
きみといっしょに
やってきた
すこし
つめたかった
ことばは
きみをうごかし
きみは
ぼくをうごかす
ぼくのことばが
ぼくを
おびやかす
2
きみは
ぼくにとって
なぞの
女の人
ぼくは
きみにとって
なぞの
男の人
たぶん
でも
なんだろう
ちがうのかもね
・・・
こわいです
不安にも
なるよ
きみのこと
好きだよ
3
きみは
いろんなことを
話ししてくれた
ぼくは少しだけ
きみを笑わすことができた
きみが
水の入ったコップに
手をかけるのが
きれいだった
ゆらゆらしていた
きみが
どこかにいたら
それでいいと
思えたなら
いいな
きっと僕たちは
自覚のないものを
伝えたり
受け取ったりしている
投げたボールも
ボールの風も
感じてしまう
4
ほんとうの僕は
きみのことでかなしくもなるし
しっともする
きみを
うしないたくもないし
愛されたいともおもっている
なんちゃって
という
うそ
みずをのみたいよ
つかれたんだ
ねむりたい
ふかふかのところで
ぼくだけに
やさしい
きみに
会いたい
5
手紙を書く
きみの手が好きだ
手紙を出す
きみの足が好きだ
手紙を待つ
きみのことが好きだ
きみの
見ている世界を
ぼくに
おしえてください
きみが
見つけた世界を
ぼくに
みせてください
きみの一言が
ぼくを救う
はずだから
きみの
笑顔ひとつが
ぼくを
安心させるから
だから
たまに見かける
きみは
綺麗で
せつない
6
ゆだねるよ
らくになるために
いたいたしさもあげるよ
わかってくれる?
孤独も
うけとってくれたらいい
はずかしいもの・・
不安も
恐怖していることも
必死さも
全て
あげてしまいたいよ
(きみを好きになり
ぼくを嫌いになる)
何も知らない
きみを前に
自分の汚れを
恥じるけれど
もっともっと
汚れたい
ぼくの中で
きみを許し
社会の中で
きみを
守る
そのために
7
ぼくが
好きになった人は
たまたま足が細くて
むずかしいことはわからない
そう言ったけれど
大抵のことは
考えてきたと思っていた
本棚には
読めない本が
いくつもあって
食器はまだ
洗ってはいない
ケンカ別れをした人がいて
朝起きた時から
左の鎖骨が痛い
歯も痛い
きみと
コーヒー飲みたい
お風呂に入りたい
と思った
てつや明けの朝に
空にでると
ひんやりしていて
本物の
くうきだったので
走っていって
ぼくは
たくさん
吸い込みました
8
きみのこと
好きだよ
大切だよ
だけど
きみに
どう思われても
いいよ
きみのこと
好きだよ
すごく
大切だよ
だから
きみに
どう思われても
いいよ
そんなふうに
言いたくなるよ
なんだって大丈夫と
思えたら
いいよ
でも
無理さ
ボーヨー
1
きみが好きだと言って
いっしょに海まで行って
カモメが
飛んでいくのを
見送っている
カモメは空から湧いて出てくる
いつからそれをやっているのかは
誰もしらない
まるで
僕たちのように
その日
きみと
同じものを
みていた
きみと
話すことばが
あんまりないね
雲が
うかんでいるのが
いいね
2
カーテンを開け放つ
くじら雲は空で分解をはじめる
みずたまりは現実を写します
ゆらゆらした
きみは
うれしすぎてこわれる
どんなふうにかっていうと
なんでもいい
きみに
光があつまる
光じゃなくてもいい
ぼくは静かに狂喜できる
ミトーのオルガンが
ファンファンなる
ならなくてもいい
目に汗が入ったのを覚えている
(二人でいると
だれなんだろう)
きみとあう
ぼくが
出て来る
・・・
ムクムク
3
窓から光が射し込んでくる
くじら雲はその形を失っていた
ホコリはキラキラして
みえないこともない
きれいかもしれない
ぼくたちは裸で
ホコリにまみれている
それぞれが王様で
それぞれに
正しさを
手放さない
(さっきまでは
なんだろう)
きみとあわない
ぼくが
出て行く
・・・
ガタゴト
4
きみを知って
うろたえたよ
こんなにも弱いなんて
知らなかったよ
きみを支配できても
ぼくは
弱いまんま
とまどうことは
あるかい
ぼくに
それとも
関係ないかい
きみに
かまれない
ぼくで
いっぱい
5
とまどうよ
あなたは
だれだったっけ
しっているけど
しらないひと
みていたけれど
みえてないひと
きみを
理解していた
つもりでいた
そんなことに
傷ついている
ぼくは
きみにとっては
・・
未知の
他人ですか
6
空気
吸いにいこう
外に
つめたい空気
吸いにいこう
透き通るくらいに
そのあとで
コーヒーを飲もう
あったかいコーヒーを
それから
たのしい話をするよ
このまえ
失敗した話し
ハハ
7
行き先は不明
どこへ行くのかわからない
怖いと思うこともある
全部
受けとめられたらと思う
いつでも
どこでも
ここは
最終地点
そして
ぼくたちだけの
最前線
ぼくたちだけの
景色が
ひろがる
8
ぼくを伝えて
きみを
受け止める
ただ
それだけの
覚悟が
もてなくて
左から
右を見る間に
きみを
見ている
ただ
それだけの
ぼくには
きみのことは
きっと
いつまでも
謎の
まんま
ふうけり
1
いくつかの
あきらめを
あつめたよ
きみに
まだ
あいたくないよ
だけれど
きみが
向こうから
やって来たので
話しかけられるかな
と
思ったけれど
話しかけられなかった
2
きみが
りくつなく
傷ついている
それをしっている
けど
ひとりで宇宙人
おくびょうな
ぶあいそうして
そして
ごまかしの
わらい
は
3
ことばの
立体交差
ぶつからない
上
下
おれは
みにくいけれど
さようなら
きみではない
ぼくを
守っている
4
サミシイノカイ
だけど
ぼくの周りが
全てではないよ
きみのぐるりも
きみはまだ
信じている
そう思う
・・・
おかしいね
きみもぼくも
同じ
人間だろうか
(お腹いたい)
みているものが違う
みえているものが
違う
5
きみは
自分を含めて
いつでもみんなに
好かれることは
無理なんじゃないかって
言った
それよりも
きみは
いつでもみんなを
好きですかって
言った
(考えたことも
なかったな)
きみに説教されて
それもそうかと
思い直した
そういう
浅はかさが
なさけなかった
6
やさしさは
いつも
おだやかなことじゃなく
無意識の
反応のこと
理性や
知識のことじゃない
怒りの矛先が
優しさの位置
そう思ったけれど
人の真価は
自覚されない位置にある
そんな風に
きみに言われて
ぼくは
ちっとも
面白く
ない
それでも君はやさしいと思う
という
ささやかな
反抗を思いつくけれど
それは話しをして
伝えたかった
気持ちとは
少し
ちがう
どうしよう
7
朝
雨が降って
今日はどこにも行きたくなかった
窓から外を見上げたら
どんより雲が浮かんでいた
せんたっきをまわして
部屋の掃除をして
きみに手紙を書いた
あ
コーヒーのにおいが
閉じ込められた
ぼくは
窓を開けて
外に出る
雨に
ぬれることができる
ぼくは
まだ
こんなこともできる
それが
うれしかった
8
あなたを愛するつもりが
愛されて
みまもるつもりが
みまもられる
支えている
つもりだったけれど
ぼくには君が
必要で・・・
それが
わかったよ
虹を追いかけない
きみは
よそよそしい顔をして
通りすぎていく
あるものを
あるがままに
うけとめている
そうやって
きみは
ぼくからみれば
虹の近くに
見えていた
とても
きれいです
くじらホエール
(RAW)
1
雨上がりに
人々のあいだ
きみは
かすんだり
くすんだり
きらきらしてみたり
もやごしにみえる
街灯の
明滅のようだった
くじらの
鳴き声にも似た
きみに
届くとも知れない声を
出していて
ぼくはひとり
きみからの
ことばを
待っていた
2
きみの言葉のうら側に
きみの過去を
のぞきみる
(きみの経験や常識、傷あと)
ぼくの知る以前の
きみについて
知ることは
あまりできないから
はじめはイルカだと思っていた
あれはスナメリ
だとか
いや
シロクマだ
とか
いろいろ
自由に
そうぞうした
ぼくにとって
きみは
加害者でもあるし
被害者
とまどいは
なくならない
3
文字だけが
ことばじゃなく
みるものや
きくもの
さわるもの
味
ぼくたちの物語り
きみの姿
ぼくたちに
印象させるもの
ぼくたち
すべてが言葉なら
確証のない
感覚
だけが
ぼくの
たよりです
きみが感じれば
それは
ことばです
4
自分の言葉を使いたい
権威の言葉は
いらない
間違った
自分の言葉をつかいたい
勘違いした
自分の言葉をつかいたい
それで
ぶつかって
気づいていきたい
それで
感じて
知りたい
ホログラムの
温度
ではない
ぼくを
かくしたままでは
生きられない
5
ぼくたちは
かみひとえで
生まれる
感動を
求めている
ため息
ひとつで
失望できる
つなわたりで
実現させても
いっしゅんで
そうしつ
したよ
空は
すべてを忘れて
海は
だまっている
ぼくは
生きている
6
あの時の言葉が
本当の意味も安らぎも
もたないと
本当は
知っているから
(ひとりじゃないよ)
謝らなくてもいいと考えました
それだから
今更な言葉たちを
さんざんに
浴びせながら
きみを深く
傷つけ続ける
ぼくは
ぼくの否と無知とを
間違いを
認めることが
できない
きみの言葉も
自分の気持ちも
受け止め
られない
7
だれからの注目もいらず
いつでも
ここにいられる
ただの
存在でありたい
だれもが
いっかいの
無名人だと
はやく
思い知りたい
やさしくもなく
健康でもない
わけも
わからず
ただ
夢中になって
生きて
いたい
8
風が
つめたくて
雨が
つめたかった
それでも
ぼくたちは
何かを
間違えたわけではない
それでも
ぼくたちは
何かを
間違えたわけではない
それでも
ぼくたちは
何かを
間違えたわけではない
それでも
ぼくたちは
何かを
間違えたわけではない
それでも
ぼくたちは
何かを
間違えたわけではない
ぼくたちは
何かを
間違えたわけではない
そう思いたかった
カフェーに
朝のような昼のような
を
食べに行く
1
『ぼくたち
人が変わって
うごいた後
世界は
いっしゅん静かになって
そのあとで
涙がこぼれるのでした
それは野ウサギの走り
のようでいて
衝動だったとも言えそうで
いま居られる場所と
向かうべき道と
ともに変わったようで
戸惑っています
自分のこと
嫌いになってくれて
いいよって
ひどいです』
2
『からだは
ゆらぎが
あるいみ
つよさで
あるいみ
よわさです
だけれど
ないと
もたない
(それと同じなんだ…)
ぼくが
持たないものを
あの人は
持っていて
だれも
持たないものを
きみが
持っている
強さとか
弱さとか
ああでもなくて
こうでもない
ぼくたち
それでも
うつろいゆく
ひとつつながりなんだ
そうだよ
ね・・・』
3
『きみの言葉に
反応に
傷つく僕は
きみに求めるものが
あるのだと
知ったよ
向かうべき場所も
わかったよ
だから僕を
連れて行ってください
器をこわして
身体に運んでもらう
ことをつかって
予測できない
頭の外に
ぼくの未来が
動き出す』
4
『きみと居た
四角いたてもの
くらげランプの
まるい灯り
一緒に食べた
△の果物
帰りに履いた
エナメルのスニーカー
身につけていた
シルクの肌着
あらゆる
目に見える形
ぼくが
触れられるもの
ぼくたちの
かんかく
水や・・
過去ですら
うつろうから
たよりに
なるのは
こころの
ひだ
ほんとうに
それだけです』
5
『ぼくの
たよりにしているものは
ふたしかなもので
意識でとらえるには
よくわからないので
ぼくは
ゆがみたくなった・・・
こんなにも
不確かなものを
たよりにしている僕は
ふあんで
水たまりの水面に
やけに傷つきやすい人を
見つけた
そこに木の葉が
舞い降りてきては
たくさんの輪をつくり
それが重なったり
拡がったりしていた
という景色を
見ていただけの僕が
まるでキノコのように
ここに
居られたから
だから
ぼくは
何もかもが鷹揚で
ゆうよがあって
ゆるされている
そう
感じてしまった』
6
『ぐれること
必要なんだよ
きみを
傷つけること
ぼくを
傷つけること
それを
知ること
とかって
自分で
言えるわけ
ないよ
・・・・
うつろうけれど
うつろわない
努力をしよう
なくなるけれど
なくならない
努力をしよう
身体を動かすとか
きみに
あいさつするとか
していこう
手間のかかる世界で生きて
はじめて
伝えられることを
そうやって
きみに
伝え
続けたい』
7
・・・
鉛筆をもって
紙を押さえて
絵は
脈略なく出現する
ことばは
どこからかやってきて
文字と絵を
かく
何かを言ってしまうことによって
他の人と
ちがう関わり方をしている
ひとりの人
自分との
付き合い方を
探していた
ぼくは
その人のために
一冊の本を
つくることに
決めた
ねがいを込めた
「空を翔る」
という題に
決めた
8
ぶらぶら
昼すぎの街を歩いていた
傍目には
のんきなまなざしをしていて
ぬるい空気を吸っていた
内心
行き場なんてなかった
春一番のきまぐれで
まどろみがうすれた時
向こうから
ひとの声が
きこえてきた
それは
きみだった
(ほんとうにうれしい)
ぼくは
舞い上がった・・・
浮かれて
アイドルのように
きみに向かって
走り出す
そういう
日は
あったかい
いきます
1
靄のおりた朝に
ぼくは夢の中で
きみはひとりぼっち
街は沈まりかえり
クルマはライトをつける
まるでネコの目のように
みえているのは
動くものだけ
そして
みえてくるのは
近いものだけ
とても
不安定
で
いる
(自信がないから
不安になり
きみにすがるから
引き裂かれる)
自分を好きに
なれないときは
きみと
居ることすら
うまく
できない
2
ことばの
まえの
きみを
みていたいと思った
迷惑だろうか
ことばだけを
みていようか
伝えることと
伝えないこと
がまんすること
しないこと
何がいいとか
悪いとか
誰が決めて
誰にわかる?
失っていいものと
いけないもの
変えるべきもの・・・
その区別に
とまどっている
3
「あのひとは
やさしかった
かなしい
とか
そういうものを
私は望まない
ちがうものをみたい
ちがう世界を
だから
みんなの命で
生きている
この身体で
この瞬間で
きみに
話しかけようと
思いました
全ては
自分の
責任で」
4
海に入った後とか
プールに入った後とか
水にぬれたあとは
くたくたになって
おなかもよくすいて
すごくねむたくなる
雨にぬれた後も
なみだをながした後も
そうで
ぼくは横になって
目をつむった
ひとが
いなくなって
ことばが
かがやく
冗談
は
やめてよ
5
きみの臭いが
手に
残っている
右手の中指と
薬指
左手の
人差し指
一人になった
この街でも
きみをそばに
感じることができる
ぼくは
きみから
足を洗うけれど
手は
まだ
洗えない
なかなか
眠れない
6
記憶の中で
きみは美しくて
ぼくは
耳を傾けてしまう
言葉もきれいで
かなしくなる
間違いをしたままだし
本当に
苦しいけれど
きびしさを増した
きみの目を気にして
ぼくは
生きることを
決意する
とてもこわい
言葉は未来を照らしたけれど
生きているのは
今
この時だけ
7
旅にでたあのひとは
むこうからやってきた
だれかと居て
喜んだりしていた・・・
あのときの印象のままだけれど
なんなんだろう?
あいさつすると
知らない人に思えた
(しょうがないんだね)
手をあげた
笑った
あはは
きみが僕を
きらいでも
自分のことは
まあまあ好きです
つよがりだけど
きみのことは
大好きです
8
みんな
自分なんだね
すべて
夢だとしても
なにも
過ぎ去ったりしない
いまが
世界だから
ここは
そのままで
ぼくは
そらける